2026年7月15日(水)の夜、まなプラコモンズ「ICTによる読み書きサポート勉強会」の2026年度第4回を開催しました。今回のテーマは「GIGA端末で使えるウェブアプリ」。前回に続いてChromebookを取り上げ、7月5日のまなプラセミナー「Chromebookの活用、進んでる?」の後半でご紹介した自作ウェブアプリを、メンバー向けに改めて扱いました。放課後等デイサービス、フリースクール、ことばの教室、特別支援学校、そして保護者の方など、各地で子どもと関わる方々が集まりました。
GIGA端末の「壁」
Chromebookでは、「拡張機能」がアプリのような役割を果たし、音声読み上げや書き込みを助ける便利なものがたくさんあります。ところが、学校で配られるGIGA端末では、この拡張機能の利用がほとんど制限されていて使えません。「便利な機能があっても、子どもの端末では使えない」、現場が繰り返しぶつかる壁です。
そこで、発想を変えてみます。拡張機能に頼らず、URLを開くだけで動く「ウェブアプリ」
ならどうか。ログインが必要だとGoogleアカウントを個人が運用することになり、自治体の端末では使えないことが多いので、ログインしないで使えることが大事なポイントになります。ウェブの制限さえクリアすれば、GIGA端末でもインストール不要で使えます。
生成AIで、自分の道具をつくる時代
もう一つ、この背景にあったのが「生成AIで、自分の道具を自分でつくる時代になった」という話です。プログラミングができなくても、AIと対話しながらアプリを形にできる(バイブコーディング)ようになりました。「便利なものを誰かが作ってくれるのを待つ」のではなく、支援者や子ども本人が、必要な道具を自分でつくる。かゆいところに手が届かないとき、これからは自分で作れる——そういう時代の入り口に立っています。
自作した3つの読み書き支援ウェブアプリ
この日紹介したのは、GIGA端末でも使えるように作った3つのウェブアプリです。いずれも
無料/URLを開くだけ・インストール不要/ログイン不要/個人情報を集めない
ことが共通点で、ブログ「平林ルミのテクノロジーノートALT」で公開しています。
読み書きに使えるウェブアプリは、これまでもブログで数多く紹介してきました(下図)。

今回、GIGA端末で「拡張機能が使えない」という壁を越えるために自作したのが、次の3つ(+1)です。
ピタッとレンズ(縦書き対応OCR)
スキャンした資料や写真を、「読める・検索できる」PDFに変換します。日本語の縦書きは文字認識が難しいことが多いのですが、ベースにした国立国会図書館の技術(NDLOCR-Lite)は縦書きにとても強く、国語の教材にも向いています。読み取った文字や読み上げの順序を自分で編集できるのが特徴で、読み間違いや順序の乱れを直せます。透明テキスト付きPDFのほか、テキスト・EPUB(電子書籍形式)・見出し付きWordにも書き出せます。テストや問題プリントの読み上げにも使えます。

とんとんリーダー(縦書きPDF読み上げ)
日本語の縦書きPDFを、いま読んでいる場所をハイライトしながら読み上げます。押したところから読み、スペースキーで止め、速度も変えられます。子どもの操作は「開く・タップ」だけ。ピタッとレンズで作ったPDFと組み合わせて使えます。

ひらがなキーボード/ひらがなキッズキーボード(かな50音入力)
ローマ字入力がまだ難しい低学年向けに、画面タップで50音配列のかな入力ができます。読み上げ機能付きで、打った文を読み上げて直してから貼り付けられます。「ひらがなキッズキーボード」なら、音声入力してもすべてひらがなで入るので、低学年の子が自分の書いた文を読めます。

拡張機能とウェブアプリ、そして「アプリのように使えるPWA」の違いも整理しました。学校の端末では制限で使えないものがあっても、URLを開くだけのウェブアプリなら、できることがあります。
若手実践家からの報告—一般社団法人Ponteとやま(富山県砺波市)
後半は、富山県砺波市の宮の森カフェ(古民家シェアハウス)を拠点に活動する
一般社団法人Ponteとやまの若手メンバーからの実践報告です。フリースタイルスクール(平日日中、時間割のない自由な場)、個別の学習サポート、ICTの体験プログラム「デジタルシーカー」という3つの活動から、たくさんの事例を紹介していただきました。
印象的だったのは、技術そのものより、「この子ならこれが合いそう」という一人ひとりとの対話から使い方が生まれていることでした。
報告者自身が「まず自分で使ってみて面白かった、できることが増えた。その上で、この子ならこれが合いそうと対話から考えられるのがよかった」と振り返っておられたのが印象に残りました。AIを使うほど新しいことができる一方で、子どもと一緒に何かをつくる機会も持てたら、という言葉も添えられました。
ゲームと、どう付き合うか
参加者からの相談をきっかけに、「学習端末にゲームが入っているとき、どうするか」をみんなで話し合いました。
参加者の声
「欲しいアプリを作ってしまうのがすごい。色々見つけてくるのが上手な方だと思っていたけれど、ついに作ってしまうのか、と感心した」
「子どもと個別にやり取りしながら『この子にこれをやったらハマるんじゃないか』という感覚に、報告のお二人からすごく刺激を受けた」
「顔が見える間柄だと、『やってみたい』が具体的になって楽しい。アプリの使い方を知り、もっと使いこなしたい」
「外に持っていく・外で使う、という視点を学んだ。つい部屋の中で使いたくなるけれど、外で使ってみようというヒントをもらった」
今後の予定
次回は8月19日(水)19:30〜21:00に開催予定です(テーマは調整中)。
まなプラコモンズとは
まなプラコモンズは、読み書きサポートに関わる支援者・教育者が月1回オンラインで集まり、現場の実践と知識を共有する場です。2024年4月から毎月継続して開催しています。参加者はフリースクール、発達相談室、放課後等デイサービス、特別支援学級、通級指導教室など、全国各地でさまざまな形で子どもたちと関わっています。
まなプラキッズプログラムの会員向けに開催しており、会員は毎回の録画アーカイブも視聴できます。
参加をご希望の方はこちらのページをご覧ください。