2026年8月23日(日)、指導者のためのAI活用講座「生成AIと拓く、読み書きサポートのこれから」をオンライン(Zoom)で開催しました。10時から12時までの2時間に加え、希望される方と質疑応答の時間を設け、12時半頃まで話を続けました。アーカイブ参加含め全国から約70名の方にご参加いただきました。
今回は、ゲストにまなプラセミナーではおなじみの飯野由里子さん(東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター 特任教授)をお招きしました。読み書きサポートの現場でAIをどう使うかという話の前に飯野さんから、前提となる情報アクセシビリティに関連する制度がいま世界でどう動いているかという話をうかがいました。
冒頭、平林から読み書きサポートの基本方針をあらためて共有しました。「子どもが読み書きできるようになることは目指さない——読み書きできなくても学べる社会を目指す」「身近にあるテクノロジーを使う」「大人が使わせたい道具ではなく、子どもが自律的に使うことをゴールにする」。この日紹介した道具も、すべてこの方針の上に置かれています。
「あらかじめ」に変わるアクセシビリティ——アメリカの動き
まず飯野さんからは、アメリカのADA(障害を持つアメリカ人法)第2編をめぐる動きを解説していただきました。ADAは1990年成立の公民権法で、第2編は州・地方政府を対象とします。公立学校や大学、自治体が含まれ、私立は含まれません。
2024年4月、この第2編に関連して、公的機関のデジタルコンテンツについてウェブアクセシビリティの基準を明確化する最終規則が公布されました。国際基準であるWCAG 2.1 AAへの準拠を求めるもので、対象はウェブページに限りません。LMSに載せる教材・課題・シラバス、授業で配るPDFやWord、スライド、デジタルテスト、保護者への通知まで含まれます。スキャンしただけの画像PDFは基本的に使えなくなる、ということです。
この最終規則の交付に至るまでの過程を紹介いただき、それがとても興味深かったです。
AIは読み書きサポートの何を変えたのか
次に、平林から読み書きサポートの現場でAIをどう使うかという話題を提供しました。読み書きの困難の中心にあるのは、文字と音の変換です。文字を見て音を思い浮かべる、頭の中の音を文字にする——その変換がうまくいかない。だからこそ、音声読み上げ(TTS)は「読み」を支える技術、音声入力(STT)は「書き」を支える技術として使われてきました。生成AIは、まさにこの変換の精度を大きく引き上げたところに効いています。
ディスレクシアのある子どもたちとこんな風に生成AIを使っていますという紹介の後に、もうひとつ紹介したのは、指導者の側でのAI活用です。先日、『インクルーシブな学校づくりハンドブック』について、視覚障害のある方から「テキスト版か、見出し付きのWord版が欲しい」というご依頼をいただきました。一昨年に同じ作業を手作業でしたときは、完成版PDFから文字情報を抽出し、見出しをつけ、図の説明文を考えて——まじめにやって1週間ほどかかりました。
今回はこれをAIエージェントと分担し、1日で仕上げたのですが、AIとどのようなやり取りをしたのかを紹介しました。
質疑応答から
時間が押し、ディスカッションの枠はとれませんでしたが、残れる方と30分ほど質疑応答を行いました。最後に、質問にあったルビ付きの縦書き資料の読み上げについて、自作ウェブアプリ「ピタッとレンズ」「とんとんリーダー」の実演も行いました。
参加者の声
AIは「万能で完全なものではなく、少し賢くなった電卓のような立ち位置」という考え方はすごく大切。
AIを学習にまさに取り入れ始めたところだったので、大変勉強になりました。
バイブコーディングのお話がもっと聞きたかった。質疑応答で大分解消され、大変勉強になりました。
次回への展望
今回は、エージェント型AIとバイブコーディング(AIと対話しながら自分に必要な道具をつくる話)まで、十分に扱いきれませんでした。指導者自身が「ほしい道具」を形にできるようになることは、子どもに合わせた教材や道具を届けるうえで、これから大きな意味を持つと考えています。
配布資料の方に、AIとどういうやり取りをしてウェブアプリを開発しているのかを示していますので、参考にしてください。また昨日、平林の個人ブログの方に関連記事を掲載しましたので、こちらもぜひご覧ください。
利用者の声(Views)を反映させるアプリ開発——生成AIで道具を育てるプロセス(平林ルミのテクノロジーノートALT)
あとから配信のお申し込み(9月23日まで)

本講座のあとから配信は、2026年9月23日(水)までお申し込みいただけます。
今後のセミナー予定

9月6日(日)10:00〜12:00、本講座の続編としてオンラインセミナー「エージェント型AIと取り組むバイブコーディング——観察がコツ・使う人の声(Views)を反映させるアプリ開発」を開催します。
読み書きサポートに取り組む先生・支援者の方はもちろん、ディスレクシアサポートに関心のある開発者の方のご参加も歓迎します。
お申し込みはこちら(Peatix)
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