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セミナー報告

バリアフリーフォーラム2026 読み書きICTサポートコミュニティの集い 

2026年3月21日(金)、東京大学にて「バリアフリーフォーラム2026 ―読み書きICTサポートコミュニティの集い―」を開催しました。東京大学バリアフリー教育開発研究センターとの共催で、対面イベントとして行った初めての試みです。セミナー部分はオンラインでもハイブリッド配信しました。

富山、長野、名古屋、千葉、山形、静岡……全国各地から、フリースクール運営者、小学校教員、放課後デイサービスのスタッフ、保護者、そして読み書きにICTを活用して学んできたユース(若者)たちが集まりました。

バリアフリーフォーラム2026の会場の様子。参加者がスクリーンに映されたスライドを見ながら着席している
東京大学の教室で開催されたバリアフリーフォーラム2026

セミナー「子どもへの合理的配慮 ― 5つのステップ+ワン!」

飯野由里子さん(東京大学バリアフリー教育開発研究センター)と平林ルミさん(東京大学バリアフリー教育開発研究センター/学びプラネット合同会社)の共同セミナーでは、現在、科研費研究(基盤研究C、課題番号:24K06167)で取り組んでいる、子どもの権利条約の視点から合理的配慮の提供プロセスを考えました。

大人向けの合理的配慮プロセスをそのまま子どもに当てはめることの難しさ――「困っている」と自覚できない、違うことをすると目立つ、大人との権力格差がある――を踏まえて、通常の5ステップに加え、すべての土台となる「要望形成の足場づくり(+ワン)」を提案しています。

セミナーのスライド。子どもの意見表明権における「意見」=viewsについて解説している

子どもの権利条約における「意見表明権」の「意見」は原語の英語では「views」。一人一人の子どもが世界をどのように見て、どのように考えているのか。それを知るということが一番大事。口頭で述べられるものだけでなく、その子がどう世界を見ているのかを理解すること。

大人が「聞いたつもり」にならないために何が必要かを、会場とオンラインの参加者と一緒に考えました。

セミナーのスライド。子どもが学ぶ場にリソースとして置いてほしいツールたち――iPad、ヘッドフォン、キーボードなどが並んでいる

子どもへの合理的配慮 5つのステップ+ワン!(アーカイブの申込受付は2026年4月30日まで)


4団体の実践報告

午後のラウンドテーブルでは、まなプラキッズプログラムに参加している4つの団体が実践を報告しました。

現場に読み書きICTサポートのノウハウを届ける「まなプラキッズプロブラム」

リヴォルヴ学校教育研究所 / むすびつくばライズ学園の実践報告

リヴォルヴ学校教育研究所の実践報告の様子。3名の登壇者がマイクを持ちながら発表している

NPO法人 リヴォルヴ学校教育研究所 / むすびつくばライズ学園(茨城県つくば市)からは、子どもがGoodNotesでオリジナルポケモンを制作する中で、タイピングや画像検索を自然に覚えていった事例が紹介されました。「自分が作りたいと思った時にすぐ作って表現できる。自由意志に基づいて創作活動が展開できるようになる。それは、その子が選択と決定の権利を持っているということ」という言葉が印象的でした。
リヴォルヴ学校教育研究所のウェブサイト

一般社団法人 Ponteとやまの実践報告

Ponteとやまの実践報告。スクリーンに活動内容が映し出され、登壇者がマイクを持って説明している

一般社団法人 Ponteとやま(富山県砺波市)からは、フリースタイルスクールという形の体験活動・生活実践と学習を組み合わせた活動が紹介されました。これまでわからないことや困ったことがあっても大人に相談しないとか、できなかったらすぐ諦めて終わりということがあったそうなのですが、デジタルの中で自分で表現できることに気づき、できることが増える。できないと思ってたことができることに変わり、それが自信に変わる。そして、デジタルの世界からまたアナログの世界に戻るという循環が起こっているそうです。
Ponteとやまのウェブサイト

NPO法人 やまごやの実践報告

やまごやの実践報告。スクリーンに「やまごやの活動 二つの輪」のスライドが映し出されている。オンラインからも参加者が映っている

NPO法人 やまごや(山形県鶴岡市)からは、連携するフリースクールで伴走型支援を展開する地域活動の報告がありました。フリースクールで手書きが前提になっていたスクラップブック制作を、フリーボードに置き換えた実践を報告。やり直しが簡単になったことで、一度選んだコメントを「やっぱりこっちかな」と変更するなど、子どもの主体性と思考の整理が促進されているそうです。
NPO法人やまごやのウェブサイト

ソラアルPIAの実践報告

ソラアルPIAの実践報告。スクリーンに「Solar PIAでの取り組み」のスライドが映し出され、2名の登壇者が発表している

株式会社ソラアル / ソラアルPIA(東京都葛飾区)からは、放課後デイサービスとして平日は活動し、読み書きICTのプログラムを土曜日に開催した事例が報告されました。土曜日の活動に参加した子どもが、平日のデイサービスの中でもタブレットを活用し、宿題に取り組みます。報告は「漢字が嫌い」だった子が、実は「消しゴムで消すのが嫌い」だったことがわかり、iPadを使うことで「きれいに書けるからと楽しい」と宿題に主体的に取り組んでいるエピソードが共有されました。
ソラアルのウェブサイト


ユースの声

読み書きにICTを活用して学んできた3名のユース(10代・20代)が、ポスターで自分の学び方と現在の活動を紹介しました。

ユースが作成したポスター。マウンテンバイクの活動写真や、学校での学びについてまとめられている
ユースによるポスター発表

セミナーの質疑では、マレーシアのアメリカンスクールから帰国したKさんが「AIは仲間。足がない人がツールを使って歩けるようにするようなもの」と語り、自らAIの教育活用ツールを開発中であることを紹介。小学生の頃からiPadで学んできたMさんは「Kindleの読み上げで、文字につまずかずに意味が頭に入るようになった」と振り返りました。

海外に行って自分の足で踏み入れて生で見ると、世界が変わる。どの年齢でも。


来年も開催します

ポスターセッションやコーヒータイムでは、初めて会う人同士が「うちの地域でもこれやりたい」「うちの子にも試してみたい」と話し込む姿があちこちで見られました。来年もこの集いを開催し、読み書きICTサポートの核となる考え方を、子どもに関わる多くの方に伝える活動を続けていきます。


今後のセミナー・イベント予定

4月4日(金)ふぇみ・ゼミ&カフェ インターセクショナリティ講座 第1回
ふぇみ・ゼミ&カフェ主催の連続講座がスタートします。第1回は、脳性麻痺の当事者としてインクルーシブ教育を推進してきた川端舞さんと、100歳を迎えた教育実践家・北村小夜さんをゲストに、インクルーシブ教育をテーマに鼎談します。平林がファシリテーターとして登壇します。
お申し込みはこちら(Peatix)

4月19日(土)ゲストトーク「母子分離の重要性 〜おめめどうを作り・視覚支援を全国に広げる奥平綾子さんのお話」
世界自閉症啓発デー関連企画。まなプラセミナーに、22年にわたり自閉症のある人とのコミュニケーションを支えてきた株式会社おめめどうの奥平綾子さんをお迎えします。良かれと思って先回りし、勝手に決めてしまう「エスパー」をやめること。本人の試行錯誤を守ること――。自閉症のあるお子さんとの暮らしの中で積み上げてきた実践は、すべての親子関係・支援関係を見つめ直すきっかけになるはずです。
お申し込みはこちら(Peatix)

ポッドキャスト「となりのニューロダイバーシティ」シーズン4「アタッチメントを探求する」
平林ルミと飯野由里子のポッドキャスト、毎週金曜17:30更新。シーズン4では「アタッチメント(愛着)」をテーマに語っています。現在は少し脱線して、4月2日の自閉症啓発デーに向けたおしゃべりを3回連続でお届け中。
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